取消2018-300332:不使用取消審判(50条:指定商品についての使用)

日本では、継続して3年以上、登録商標を適正に使用していない場合、第三者から請求があった時には、その商標登録が取り消しとなります。その取り消しを求める審判のことを「不使用取消審判」と言います。

この事件では、使用している商品・サービス(役務)が、指定している商品・サービス(役務)との関係で、上記の登録商標が使用されていると言えるかが争点となりました。使用している商品・役務と、指定している商品・役務を整理すると以下のとおりです。

使用商品/役務

雑誌の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

指定商品/役務

印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

この事件で特許庁は、以下のように判断し、商標登録を取り消さないとの判断をしました。

これは、小売サービスで取り扱っていた「雑誌」が、上位概念である「印刷物」に含まれるとして、登録商標が指定役務のとの関係で使用されていたと判断された事例です。

ギフト用カタログ(乙4、乙9)には、「定期購読 23冊(特典付)」の表示及び「Pen」というタイトルの雑誌の写真並びにその申込番号、商品説明が記載されているところ、当該商品は、「印刷物」の範ちゅうの商品である。
 そして、被請求人が事業として行っていると主張する「カタログギフト業」とは、各種商品をカタログに掲載し、当該カタログの受取り手が好みの商品を選べる形式で商品を販売する事業であって、カタログギフトの受取り手、すなわち、需要者は、各種の商品が取りそろえられ、掲載されたギフト用カタログを見るだけで商品の選択及び注文ができるようになっているものである。
 上記1の流れをみるに、受取り手は、ギフト用カタログ(乙4、乙9)に掲載された商品を被請求人に注文していることが優に認められるものであるから、被請求人は、需要者に対して商品の選択の便宜のために、販売する商品が掲載されたカタログの提供を行っているということができるものであり、これは、商品の小売又は卸売の業務において小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当する行為といえるものである。
 してみれば、被請求人は、「印刷物」の範ちゅうの「雑誌」についての小売等役務を提供したものといえ、被請求人の提供する上記小売等役務に使用される当該ギフト用カタログは、カタログギフトの受取り手、すなわち、当該役務の需要者が商品の選択及び注文を行うために利用するものであるから、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」というのが相当である。

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