異議2020-900279:異議申立(4条1項10号・15号・19号:周知性)

日本では、商標登録に異議がある者は何人も、商標公報発行の日から2ヶ月以内に、その商標登録の取り消しを求めることができます。その取り消しを求める審判のことを「異議申立」と言います。

この事件では、上記の商標が登録されたことに対してなされた異議申立において、「ラーメン二郎」及び「二郎」の周知性が争われました。異議申し立てを受けた登録商標と、異議申立の論拠とされた商標(引用商標)は以下のとおりです。

登録商標 宅二郎
引用商標 ① ラーメン二郎
② 二郎

この事件で特許庁は、以下のように判断し、「ラーメン二郎」及び「二郎」の周知性を認めず、結論として、商標登録を維持する(取り消さない)旨の決定をしました。

・・・本件ラーメン店が、ラーメンに強い関心を持つ我が国の需要者の間である程度知られているといい得る。
しかしながら、ウェブサイトや書籍などを通じた本件ラーメン店に関する情報の掲載回数やランキングの選定回数は、決して多いものということはできず、それらの証拠のみをもって、引用標章1が、我が国において、本件商標の指定役務の需要者に、どの程度知られているのかを客観的に把握することができない。
また、我が国における引用標章1についての役務の提供実績(売上高、提供件数、市場占有率(シェア)など)や、同業他社の同一又は類似役務の提供実績、引用標章1に対する本件商標の指定役務の需要者の認識を客観的に示す証拠は提出されておらず、職権により調査するも、これについて明らかではないことから、引用標章1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、「二郎」(引用標章2)の文字のみが、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で広く知られたことを示す具体的な証拠はない
以上のとおり、申立人が提出した全証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている状態にあったと判断することはできない。

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