令和2(行ケ)10126知的財産高等裁判所:審決取消訴訟(4条1項8号:音商標を構成する音が「他人の氏名」であるか)

日本では、他人の肖像や氏名などを含む商標は、その他人の承諾を得ない限り商標登録を受けることができないこととされています。

この事件では、音商標を構成する音につき、4条1項8号にいう「他人の氏名・・・を含む」ものであるかが争点となりました。

本件は、「マツモトキヨシ」の音からなる上記商標(商願2017-7811)についての行政事件で、知的財産裁判所は、

同号は,出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名,名称等に係る人格的利益の調整を図る趣旨の規定であり,音商標を構成する音と同一の称呼の氏名の者が存在するとしても,当該音が一般に人の氏名を指し示すものとして認識されない場合にまで,他人の氏名に係る人格的利益を常に優先させることを規定したものと解することはできない。

音商標を構成する音と同一の称呼の氏名の者が存在するとしても,取引の実情に照らし,商標登録出願時において,音商標に接した者が,普通は,音商標を構成する音から人の氏名を連想,想起するものと認められないときは,当該音は一般に人の氏名を指し示すものとして認識されるものといえないから,当該音商標は,同号の「他人の氏名」を含む商標に当たるものと認めることはできないというべきである。

と判断して、出願人である原告の主張が受け入れられました。

この事件は、商標を構成する音が取引実情に照らして人の氏名と認識されないときは、「他人の氏名」を含むものとはならないと判断されたものとなります。

判決文はこちらからご覧ください。

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