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028:【事業者向け】国際出願(マドプロ出願)に適した基礎出願をするときのコツ

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「国際出願(マドプロ出願)に適した基礎出願をするときのコツ」です。

前回の投稿で、国際出願をするときの注意点をまとめました。

今回は、具体的にどういったところに注意すればいいのかについて、解説したいと思います。

目次


  • 願書に記載する商標をどうするか
  • 願書に記載する商品・サービスをどうするか
  • 早期審査制度を活用するか

願書に記載する商標をどうするか


出願する商標をどのように特定するかというのは、非常に大切な問題です。

商標登録に向けて出願をしたあと、審査官で何らかの拒絶理由を伝えてくることがあります。

この場合に、自分はこう使っているのだということを提示するような場合に、出願した商標と使っている商標が一致している方が望ましいことがしばしばあります。

また、商標が無事に登録された後には、登録商標として使用し続けることになりますが、使用している商標と登録商標が異なった態様である場合、後々問題になることがあります。

具体的には、登録商標が適切に使用されていないということで、商標登録が取り消されてしまう恐れがあります。

こうしたことから、ご自身が現実に使用している商標について出願をするというのが基本的な考え方です。

もっとも、実際に使っている商標の中には、別の拒絶理由を呼び寄せるような言葉が含まれていることがあり得ますので、注意が必要です。

また、使っている商標が色彩付きのものである場合、その色彩を残したままカラー商標として出願をするのか、それとも無彩色にして出願をするのかということも、検討が必要です。

まずはご自身が、登録を希望する商標を、どこに、どのように使っているのか、また、バリエーションがあるのかといった実態を整理して頂き、お問い合わせ頂くのが宜しいかと思われます。

例えば、日本ではカタカナで書いたの商標を登録して使っているけれども、海外ではアルファベットで書いた商標を使うつもり、というような場合など、日本での使い方と海外での使い方に違いを設けるような場合があるかと思います。

こうした場合には、日本で権利化したものをそのまま外国に出願をしても、効果的な出願とは言えませんので、将来のイメージも合わせてお伝え頂くと良いでしょう。

願書に記載する商品・サービスをどうするか


出願する商標の特定が済んだら、今度は指定する商品・サービスを選定することになります。

国際出願(マドプロ出願)をする時には、日本の商標登録出願・商標登録で指定した商品・サービスの範囲内で海外用の指定商品・指定役務を国際出願の願書に書いていきます。

日本の商標実務上、商品・サービスの似ている・似ていないとか、含む・含まれないとかいった判断は、あらかじめ定められた審査基準に則って判断されます。

さらに、商標登録出願・商標登録で指定した商品・サービスについては、後から追加して範囲を拡大することができません。

このため、いざ国際出願をしようという段階になって、あれも追加したいとなっても、例えそれが既に指定している区分であっても、国際出願で指定することができないという場面も想定されます。

例えば、日本の出願に「知識の教授」とだけしか書いていない場合、国際出願の段階で「セミナーの開催」は指定することができません。

どちらも同じ第41類という区分に属しますが、別のサービス(非類似の役務)として取り扱われていて、上位・下位概念の関係にもないためです。

これは、あくまでも一例ですが、こうしたことにならないためには、日本で商標登録出願をする段階で、商標を使うことが予想される範囲にまでは、ある程度広がりを持たせて商品・サービスを指定しておくことが大切です。

早期審査制度を活用するか


国際登録の日から5年以内に基礎が消滅すると、それに引きづられて国際登録も消滅してしまします(いわゆる「セントラルアタック」です)。

ここで、主な消滅の理由として挙げられるのが、①審査で拒絶される、②異議申立をされて取り消される、③無効審判を起こされて無効にされる、④不使用取消審判を起こされて取り消される、の4点です。

これから出願をしようという場合、②〜④は登録後のものですからひとまず置いておいて、①について注意が必要です。

最近ですと、出願をしてから審査がされるまでに、早くて6ヶ月程度、通常は12ヶ月程度を要していますので、優先権主張期間(基礎出願の日から6ヶ月)との関係で、国際出願前に審査結果を得ることは難しいことになります。

ここで、もっと早く審査結果を得るための方策として、「早期審査制度」を活用することが挙げられます。

この制度を活用することで、最短で2ヶ月程度で審査結果が得られることになりますので、審査で拒絶されないで済んだかどうかを、国際出願の前に知ることができることになります。

ただし、早期審査制度を利用できるかどうかは、各種の条件がありますので、詳しくは当事務所までお問い合わせください。


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