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073:【初心者向け】商標登録を受けるときに決める必要がある商品・役務の区分とは

商標登録を受けようと考えたとき、どの商標について出願をするかということは非常に大切ですが、これと同じくらい大切なことが、どの範囲で出願をするかです。

商標登録を受けるときには、実際に自分が権利化することを望む範囲を設定して行います。今日は、この権利化を望む範囲の設定で重要な役割を果たす「区分」について解説したいと思います。

目次


  • 権利範囲の大枠を定める45の区分「国際分類」
  • 1〜34類が商品の区分で、35〜45類がサービスの区分
  • ご注意
  • まとめ

権利範囲の大枠を定める45の区分「国際分類」


商標登録を受けるには、権利範囲を設定する必要があるとお伝えしました。言い換えると、「何でもかんでもざっくり権利化」ということはできません。その商標が、例えば「文房具」の目印なのか、それとも「美容院」の目印なのかということを、しっかりと特定する必要があります。

そして、その特定の仕方により、権利化する範囲が変わってきます。

そんなことどうやって?と思われるかもしれませんが、世の中に存在するありとあらゆる商品・サービスがありますが、これらは全て、45の区分のどれかに分類されるようになっています。

この45の区分というのは、国際的におおよそ統一された分類で、「国際分類」と呼ばれています。その昔は日本では独自分類を採用していましたが、経済のグローバル化に伴い、国際分類に準拠することとなったという経緯です。

この国際分類に当てはめますと、上記で挙げた「文房具」であれば第16類になりますし、「美容院」であれば第44類というところになります。とはいえ、実際にどのような事業をされているか、商品・サービスが具体的にどのようなものかで、具体的な指定の仕方が変わってきます。の

今日は、45個の区分の中身についてざっくりとお伝えしますが、実はこの権利範囲の設定は、非常に専門的な話になります。出願の際には、さらにその中で細かく特定が必要だということを覚えておいて頂ければと思います。

ちなみに、区分の数で料金が変わりますので、この点も忘れないようにしておきましょう。

1〜34類が商品の区分で、35〜45類がサービスの区分


以下、ざっと列挙します。気になるものや関係のありそうなものが見つかるか、見てみてください。

  • 第1類 工業用、科学用又は農業用の化学品
  • 第2類 塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品
  • 第3類 洗浄剤及び化粧品
  • 第4類 工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤
  • 第5類 薬剤
  • 第6類 卑金属及びその製品
  • 第7類 加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械
  • 第8類 手動工具
  • 第9類 科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具
  • 第10類 医療用機械器具及び医療用品
  • 第11類 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用、冷却用、乾燥用、換気用、給水用又は衛生用の装置
  • 第12類 乗物その他移動用の装置
  • 第13類 火器及び火工品
  • 第14類 貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計
  • 第15類 楽器
  • 第16類 紙、紙製品及び事務用品
  • 第17類 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック
  • 第18類 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具
  • 第19類 金属製でない建築材料
  • 第20類 家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの
  • 第21類 家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品
  • 第22類 ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維
  • 第23類 織物用の糸
  • 第24類 織物及び家庭用の織物製カバー
  • 第25類 被服及び履物
  • 第26類 裁縫用品
  • 第27類 床敷物及び織物製でない壁掛け
  • 第28類 がん具、遊戯用具及び運動用具
  • 第29類 動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物
  • 第30類 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料
  • 第31類 加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料
  • 第32類 アルコールを含有しない飲料及びビール
  • 第33類 ビールを除くアルコール飲料
  • 第34類 たばこ、喫煙用具及びマッチ
  • 第35類 広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
  • 第36類 金融、保険及び不動産の取引
  • 第37類 建設、設置工事及び修理
  • 第38類 電気通信
  • 第39類 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配
  • 第40類 物品の加工その他の処理
  • 第41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
  • 第42類 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウェアの設計及び開発
  • 第43類 飲食物の提供及び宿泊施設の提供
  • 第44類 医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務
  • 第45類 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属するものを除く。)、警備及び法律事務

ご注意


ちなみに、商品・サービスを指定するに当たっては、特許庁の審査実務上「明確」である必要がありますが、上記は、あくまでも各区分の概要であって、明確な表示として願書に記載して問題ないものとは限りません。

また、区分の中でも細かく分かれていますので、必要十分な権利範囲を確保するためには、区分ごとに、個々に商品・サービスを指定していく必要があります。

まとめ


いかがだったでしょうか。ご自分のビジネスがどの区分に関係しそうか、少しイメージが湧いたでしょうか。

商標権は、ただ取ればいいというものではありません。適切な権利範囲の設定がされなければ、中途半端なものになりますし、最悪の場合、有名無実なものともなりかねません。

弊所では、実際の事業内容をしっかりと伺った上で、適切な権利範囲の設定=指定商品・指定役務の選定を行っていますので、安心してお任せいただけるかと思います。

なお、この選定は、出願手数料の範囲内で行いますので、このための追加費用というものは発生しないのもポイントです。

出願を検討される際には、お気軽にご相談頂ければと思います。


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