「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。
さて、今日のお題は「企業のマスコットキャラクターを安心して使い続けるには(導入編)」です。
多くの企業で、顧客に親しみを持ってもらうなどの目的で、マスコットキャラクターを作っている例が見られます。
なるほどかわいいと思えるものも多数あり、事業活動に良い影響を与えていることは疑いないところですが、法的に気をつけなければならない点はないのでしょうか。
目次
- マスコットキャラクターのイラストは著作物?
- マスコットキャラクターのイラストは商標?
- 結論:マスコットキャラクターのイラストは著作物であり商標にもなる
マスコットキャラクターのイラストは著作物?
マスコットキャラクターは、企業活動で用いられる場合には、イラストとして描き起こされるものがほとんどではないでしょうか。
人気が出てきて、着ぐるみにしようという場合もあるかと思いますが、まず第一には、イラストになってくると思います。
ここで、マスコットキャラクターを描き起こしたイラストは、通常、その描き起こした人の創作的な表現活動の成果であると言えるでしょう。
そうすると、そのイラストは、「著作物」ということになります。
著作物って一体なんだろうという方もいらっしゃるかと思いますので、条文を挙げておきたいと思います。
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作権法第2条第1項第1号
イラストが著作物であることになりますと、著作権で保護を受けることになりますので、著作権法にのっとった対応が必要になります。
マスコットキャラクターのイラストは商標?
次に、その描き起こされたイラストをどう使っているかということを考えてみたいと思います。
そのかわいいイラストは、いったいどこにどのように使われているでしょうか。ホームページ、チラシなどの印刷物、店舗看板、商品パッケージなどなど。思い当たる節はありませんでしょうか。
思い当たる節のある方にお考え頂きたいのですが、そもそも、なぜそのイラストをホームページなりチラシなり、あるいは看板なりに表示しているのでしょうか。
ただかわいいからというだけではありませんね。そのイラストが表示されているところは、「我が社ですよ」ということを伝えたいからではないでしょうか。
そのイラストが表示されていることで、それを見た人は、ああこのキャラクターがあるということは、「この商品を売っている会社だな」とか、「このサービスが受けられるところだな」というように認識をします。
つまり、商品やサービスの目印になっているということです。
商品やサービスの目印のことを、「商標」と言います。
商標は、商標登録を受けておかないと、安心して使い続けることができなくなりかねませんので、商標法にのっとった対応が必要になります。
結論:マスコットキャラクターのイラストは著作物であり商標にもなる
ここまでで、マスコットキャラクターのイラストを企業活動で使おうとする場合には、著作権法と商標法が関係してくることがわかりました。
どちらも、ちゃんと対応をしておかないと、ある日突然トラブルになったり、最悪の場合、使えなくなったりしてしまいます。
使えなくなるということは、つまり、そのイラストを表示しているホームページや看板を修正したり、チラシなどの印刷物を刷り直したりする必要がある、ということです。
商品のパッケージに表示している場合には、回収して詰め直しや補修をする必要も出てきますので、取引先にも影響が出てきます。
次回から、著作権法と商標法のそれぞれで、注意すべき点をお伝えしていきたいと思います。
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