わかって納得の知財ブログ

092:【個人・事業者向け】北京・上海・香港・台湾・マカオを保護範囲として商標登録を受けたい場合、中国だけに出願をしては足りない理由

ここのところ中国ネタが続いていますが、せっかくですのでもう一つお伝えしたいと思います。

今日のテーマは「北京・上海・香港・台湾・マカオを保護範囲として商標登録を受けたい場合、中国だけに出願をしては足りない理由」です。

目次


  • 中国本土とそれ以外で法域が異なる
  • 中国本土とそれ以外の「それ以外」とは?
  • 香港について
  • 台湾について
  • マカオについて
  • 国際出願の可否

中国本土とそれ以外で法域が異なる


いずれも広い意味では中華圏ということもあり、中国だけに出願すれば足りるのでは?と思われていることもしばしばあります。

しかし、歴史的な沿革もあり、中国本土とそれ以外とでは、全く別の商標システムが動いており、中国本土で商標登録を取得しても、その効力は、中国本土以外には及びません。

これを、業界用語で「属地主義」と呼びます。簡単にいうと、日本の商標権の効力は中国にも韓国にも及ばないし、逆もまた然りだということと同じです。

中国本土とそれ以外の「それ以外」とは?


あえて言うまでもありませんが、中国の首都は北京です。ですから、中国で商標登録を受ければ、北京での商標の使用は問題なく認められます。

それではタイトルにも挙げた残りの上海・香港・台湾・マカオはどうでしょうか。

焦らしても仕方ないので答えをお伝えしますと、上海だけが中国本土に属しますので、上海は中国の商標法の効力範囲内です。

他方、香港・台湾・マカオには、中国の商標法の効力は及びません。

香港について


香港は、ご存知のように中国の特別行政区という扱いで、昨今ニュースが絶えませんが、香港では中国とは全く別の商標制度が築き上げられています。

香港でビジネスを行いたいという方は、香港で商標登録を受ける必要があります。

中国の特別行政区だとは言っても、中国とは制度設計も審査実務も全く異なるので、ご注意ください。

出願時に使用言語を英語か繁体字かを選択できるというのは、特徴的な制度言えるでしょう。

台湾について


台湾は、中華民国と称しているように、中国本土とは異なっています。

商標制度も、中国本土とも香港ともまた違う、独自の発展を遂げていると言えます。

台湾でビジネスを行いたいという方は、やはり台湾で商標登録を受ける必要があります。

使用言語が繁体字となっている点は、使用言語が簡体字の中国と明確に異なる点と言えるでしょう。

マカオについて


香港と目と鼻の先にあるマカオは、香港と同じように、中国の特別行政区とされます。

香港がそうであるように、やはりマカオも独自の商標制度を保有しており、マカオはマカオで商標登録が必要です。

マカオは、ポルトガルの植民地であったという沿革から、香港ともまた違う特徴ある制度になっています。

商標権の存続期間が7年というのも、他と大きく異なる点ではないでしょうか。

国際出願の可否


以上簡単に中国・香港・台湾・マカオについてお伝えしてきましたが、これらのうち、国際出願(マドプロ出願)が可能なのは、中国だけとなります。

香港・台湾・マカオについては、国際出願(マドプロ出願)の前提となるマドリッド協定議定書(マドリッド・プロトコル)に加盟していませんので、国際出願(マドプロ出願)を行うことができません。

香港・台湾・マカオのいずれかにおいてビジネスを行おうという場合には、それぞれの地域で商標登録出願を行い、商標登録を受ける必要があります。

当事務所では、中国本土はもちろん、香港・台湾・マカオへの出願もお引き受けしておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談いただければと思います。


<<お問い合わせはこちらから>>

この記事の内容について詳しくお知りになりたい方は、
以下のボタンからお気軽に当事務所までご連絡ください。


にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ
にほんブログ村 ランキング参加中です!

PAGE TOP