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044:【事業者向け】企業のマスコットキャラクターを安心して使い続けるには(商標法編)

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「企業のマスコットキャラクターを安心して使い続けるには(商標法編)」です。

前々回の記事で、企業のマスコットキャラクターを使うには、著作権法と商標法の両方について、対応が必要であることをお伝えしました。今回は、商標法の観点から、解説していきたいと思います。

目次


  • 商標登録を受けないと使えなくなるかも?
  • 商品やサービスとの関係で使うことができなくなるとは?
  • 安心して使っていくためには著作権をもらうだけでは足りない
  • まとめ:著作権譲渡と商標登録はセットだと心得よう

商標登録を受けないと使えなくなるかも?


マスコットキャラクターのイラストが、著作物でもあり商標にもなることを、これまでお伝えしてきました。商標にもなると言うことは、つまり、他人が似たような商標についての登録を受けている場合、その人の商標権を侵害するということになります。

商標権は、商標登録を受けることで発生することになっていて、その商標権の効力は、完全に同じものばかりではなく、似ている範囲までが含まれます。このため、マスコットキャラクターのイラストが完全に同じものでなくとも、似たようなキャラクターについての商標登録がある場合、その他人の商標権を侵害することとなり、その商標は使うことができなくなります。

これは、たとえイラストレータさんから納品を受けようとも、社内の従業員の方に作ってもらったとしても関係なく、他人の商標権の範囲に属する商品やサービスとの関係では使うことができなくなります。著作権を持っていても関係ありません。

そのようなことにならないよう、自分の名義でしっかりと商標登録を受けておくことが大切になってきます。商標登録が受けられるということは、他人の商標権を侵害するものではないからですので、これをはっきりさせておけるというだけでも、非常に大きなメリットではないでしょうか。

商品やサービスとの関係で使うことができなくなるとは?


商品やサービスとの関係で使うことができなくなるというと、商品パッケージから外せばいいのではとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらそうはいきません。

商品パッケージはもちろんですが、それを宣伝するためのチラシやホームページなども、商品との関係で広告宣伝物だと認識されますので、同様に使うことができなくなります。

これはサービスの場合も同様です。店舗看板に使っていたイラストが他人の商標権を侵害するものである場合、店舗看板ばもちろんのこと、宣伝に使っているチラシやホームページからも下ろさないといけなくなります。店内で使っているタオルやお皿などにもイラストが描かれている場合、変更が必要になってきます。

安心して使っていくためには著作権をもらうだけでは足りない


このように、企業がマスコットキャラクターを活用するというのは、単に可愛いからとか、親しみを持ってもらいたいからという主観的な目的を超えて、客観的には商標として使っていることが少なくありません。

そして、商標としてイラストを使う以上は、商標登録を受けておかないと、他人の商標権を侵害してしまう恐れが出てきますし、競合他社や悪意のある人が嫌がらせをしようと思えばできてしまう状態をみすみす放置しているとも言えます。

このような事態を防ぐためには、きっちりと商標登録を受けておくことが大切です。マスコットキャラクターということは、自社を代表するキャラクターな訳ですから、商標登録を受ける時には、商品やサービスを網羅して、幅広く権利を押さえる必要があります。

これは、著作権が商品やサービスとは関係なく権利が発生することと対照的で、商標権は、自分がどの商品やサービスについて使うものかを特定する必要があるということです。

商標権は、自ら特許庁に手続きをしないと得ることができない権利ですので、忘れずに、かつ漏れのないように対応をしたいものです。

まとめ:著作権譲渡と商標登録はセットだと心得よう


商標権や著作権がらみでトラブルになると、顧客や取引先に迷惑をかける事態にも発展しかねませんし、第一、トラブル対応のための心労やコストが馬鹿馬鹿しいとも言えます。

そうならないためには、マスコットキャラクターを企業活動で使おうとする時には、著作権を譲り受けることと商標登録を受けることはセットだと、心に刻んでいただけたらと思います。

知的財産トラブルは、予防が第一です。ですが、周りはそうそう教えてくれません。自己責任で予防をすることが、非常に大切になってきます。ドキッとした方は、当事務所までお気軽にご相談ください。


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