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072:【初心者向け】著作権表示と商標登録表示、勝手に使ったら刑事罰なのはどちら?

著作権と商標。身近な知的財産のツートップと言っても過言ではありません。これらについて、よく用いられている記号があるのをご存知でしょうか。

一つ目が「©️」記号です。昔の中高生が「〜ちゃん」の代わりに使っていたのが懐かしいですね。
二つ目が「®️」記号です。街中で見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
三つ目が「TM」記号です。三つ目と二つ目を合わせて某歌手の名前、というわけではありません。
そして四つ目が「SM」記号です。これは時々目にすることがあるか・・・程度かと思います。

今日は、どこかでみたことがあるけれど、誤用もちらほら見かけるこれらの記号の意味と注意点についてお伝えしていきます。

目次


  • 「©」記号は著作権表示|今では法的効果はない️が事実上の効果が期待できる
  • 「®️」記号は法上の「商標登録表示」ではないが未登録の商標には使えない
  • 「TM️」記号は登録されていない商標にも使える
  • 「SM」記号は一体何?
  • まとめ

「©」記号は著作権表示|今では法的効果はない️が事実上の効果が期待できる


この記号は、著作権の英語表示である「Copyright」の頭文字を取ったもので、著作権表示と呼ばれます。

「万国著作権条約」という国際条約で要求されていたものですが、現在では、この条約に優先する「ベルヌ条約」の加盟国が世界のほとんどとなりましたので、この表示がなくても著作物は保護される国ばかりになりました。

日本では、もともと著作権表示がなくても著作物の保護がなされる「無方式主義」を採用していますので、この表示を使ったから何か法的な恩恵が得られるというものではありませんが、昔の名残で使われているという状況です。

事実上、対外的に著作権を主張しているという牽制力があると言える程度のものと言えます。

「®️」記号は法上の「商標登録表示」ではないが未登録の商標には使えない


この記号は、「登録済み」の英語表示「Registered 」の頭文字を取ったもので、商標登録表示のように用いられています。

しかし、これは米国の実務に由来するもので、日本の法律で定められたものではありません。

日本の商標制度上、商標登録表示というのは、

第十七条 商標法第七十三条の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。

商標法施行規則第17条

と規定されており、「®️」記号は、日本においては商標登録表示そのものであるとは言えません。

それでは、自由に使っていいのか?ということが気になるかと思われますが、結論から言うと、自由には使えません。

商標法には、次のような規定が設けられています。

第七十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為

商標法第74条

日本の実務上、「®️」記号は、「商標登録表示と紛らわしい表示」ということになります。

したがって、この記号は、登録商標についてのみ使用して良いものと言えます。

この「®️」記号すなわち「商標登録表示と紛らわしい表示」を未登録商標に付しますと、虚偽表示の罪として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されることになるので、くれぐれも注意しましょう。

「TM️」記号は登録されていない商標にも使える


前記の「®️」記号が「Registered Trademark」の頭文字だとお伝えしましたが、こちらは「Trade Mark」のイニシャルを取ったものとなります。

これは、特に登録されているかどうかに関わりなく、「商標だ」ということを表示するものですので、未登録商標に付しても問題ないものとなります。

「SM」記号は一体何?


このほか、「Service Mark」のイニシャルを取ったものとして、「SM」記号があります。

元々は米国由来のものですが、平成4年に始まったサービスマーク制度導入時には比較的広く用いられていたようです。

しかし、最近では「TM」で一括りにされ、使われていることを見ることはめっきりと減ってしまいました。

まとめ


以上、著作権や商標に関する記号を見てきました。この中で特に注意が必要なのが刑事罰の対象になる「®️」記号ですね。

時々商標に「©」記号がついていたりすることも見かけますが、間違えることのないよう、ご不安がありましたら当事務所までお気軽にご相談いただければと思います。️


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