「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。
さて、今日のお題は「米国商標の登録維持の際に提出する「使用証拠」の例」です。
日本ではあまり聞きなれないこの制度について、具体例とともにお伝えします。
目次
- 使用宣誓って何?
- 使用宣誓の具体的な手続きと必要な資料
使用宣誓って何?
米国では、商標登録を存続させるために各国で要求される「更新」以外に、「使用宣誓」という別の手続きも要求されます。
英語だと「Statement of Use」と言います。商標権の発生が商標の使用という事実に基づくものとされることの表れで、商標登録は、10年間有効とされますが、商標登録を維持し続けるには、別途、定期的に使用宣誓を行うことが求められています。
手続きを行う時期は、登録後5~6年の中間のタイミングと、9~10年の更新のタイミング、その後は更新の都度に使用宣誓を行うことが求められます。
使用宣誓行わない場合には、商標登録の有効期間内であっても、商標登録は抹消されますので、注意が必要です。
また、これは直接出願をした場合のみならず、マドリッド協定議定書(マドリッド・プロトコル)に基づく国際出願であっても同様です(同様といっても、マドプロの場合が少しトリッキーなので要注意です)。
使用宣誓の具体的な手続きと必要な資料
ここで、単に使用宣誓をすれば良いのかというそうではありません。
使用宣誓に当たっては、使用証拠の提出も求められます。
使用証拠というと、日本では不使用取消審判の場面で要求されるものですが、米国で認められる使用証拠とは異なりますので、具体例を示しておきたいと思います。
なお、以下のどれも、登録商標が使用されていることを示すものである必要があるので、対象とする登録商標が明瞭に表示されているものである必要があります。
(1) 商品の例:
・商品の写真
・商品のに付けられたタグやラベルの写真
・商品が販売されていることを示すWebページのスクリーンショット(URL及びアクセス日または印刷日が記載されているもの)
・商品の包装の写真(包装を通して商品が見えるものや、包装に商品の一般名称が表示されているもの)
(2) サービスの例:
・サービスの宣伝用のパンフレットまたはチラシのコピー
・小売店やレストランの看板の写真
・サービス提供用の車両の写真
・サービスが提供されていることを示すWebページのスクリーンショット(URL及びアクセス日または印刷日が記載されているもの)
具体的にどのような使用証拠が適切かは、個別の判断が必要になりますので、お困りの際は当事務所までご相談頂ければ幸いです。
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