わかって納得の知財ブログ

048:【事業者向け】ネーミングは誰のものか(著作権法と商標法を中心に)

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「ネーミングは誰のものか(著作権法と商標法を中心に)」です。

商品やサービスの目印として、「ネーミング」をするというのは一般的に行われています。「ネーミング開発」という言葉があるように、その時流に合ったネーミングをして、商品やサービスを売り込んでいくというのは、今も昔も変わっていません。

では、その開発された「ネーミング」というのは、いったい誰のものになるのでしょうか。

ネーミングは著作権で守れるか


ネーミングは、マーケティング調査やターゲット層の研究などの様々な工程を経て、限られた文字数の中で商品やサービスのコンセプトとマッチするよう開発されることから、クリエイティブな側面があると言えます。

ネーミングが創作的なものであるとすれば、「思想又は感情を創作的に表現したもの」である「著作物」として保護できないか、気になる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、短い表現やありふれた表現は、著作権法上の創作性が認められないことが多いため、そもそも著作物ではないと判断される場合が少なくありません。

また、仮に著作物だと認められたとしても、限られた文字数という制約があるため、著作権法における創作性は限定的で、他人が似たようなネーミングを使っていたとしても、類似性が認められる場合は多くないと言えるでしょう。

これは、キャッチフレーズやスローガンについても同様で、争いになった段階では、そもそも著作物かどうか(著作権があるかどうか)から争われることになります。

そのうえ、短い表現では権利の幅が狭いと言えますので、ネーミングを守るための手段が著作権法頼みでは、やや心許ないと言えるでしょう。

この意味で、ネーミングは作っただけでは誰のものでもない状態と言えます。

ネーミングは商標権で守る!


著作権法で守ることが難しいとすると、ネーミングはどのように守るのでしょうか。

商品やサービスの目印であるネーミングは、「商標」ですので、商標法での保護を第一に考えましょう。

商標登録を受ければ、そのネーミングは登録商標として、商標権者のものとなると言えます。

逆に、商標登録を受けていないと、他人が出願をして商標権を取得してしまう可能性が残ってしまいます。

せっかく開発したネーミングを誰かに取られてしまわないよう、しっかりと商標登録を受けておく必要があります。

商標法での保護を受けるためには、特許庁に願書を提出することが必要です。海外での展開もあるようであれば、展開予定の国や地域への出願も必要です。

ただし、開発したネーミングと同一・類似のものが、既に他人名義でが出願・登録されていた場合には、自分名義で登録が受けられない場合もあります。

したがって、ネーミングの候補を挙げている段階から弁理士と協力して、権利化の見込みがあるネーミングを作り上げる必要があります。

商標登録を受けておけば、商標権として確立したものとして扱われますので、著作権のように、そもそも著作物か(権利があるかどうか)という点は問題になりません。

また、商標権の効力は、類似する範囲にまで及びますので、非常に強力なものと言えるでしょう。

安心して使うためにも、他人の模倣から守るためにも、ネーミングをしたときは、商標登録が必須だということを覚えておいてくださいね。


<<お問い合わせはこちらから>>

この記事の内容について詳しくお知りになりたい方は、
以下のボタンからお気軽に当事務所までご連絡ください。


にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ
にほんブログ村 ランキング参加中です!

PAGE TOP