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040:【事業者・士業向け】続・既に他人の商標登録があったときの対応方法⑤潰す(取り消す・無効にする)

「知的財産は難しい」とよく言われます。このblogは、知的財産に関する疑問・悩みに答えていく「解説」記事です。「知的財産が分かった」を目指して、すっと理「解」していただけるように噛み砕いて「説」明していきます。

さて、今日のお題は「続・既に他人の商標登録があったときの対応方法⑤潰す(取り消す・無効にする)」です。

タイトルが俗っぽい言い方で少し過激な感じも否めませんが、商標法には、他人の商標登録を取り消したり無効にしたりする手段が定められています。

本記事では、商標登録を取り消したり無効にしたりする手段について、ご紹介したいと思います。

目次


  • 異議申立て
  • 取消審判
  • 無効審判
  • まとめ

異議申立て


商標登録を受けるためには、特許庁に出願をして、審査を通過する必要があります。審査を通過して、登録料を支払うと、商標登録がされます。

日本をはじめとする世界の多くの国で、その審査プロセスに誤りがないかについて公衆のチェックを入れることとなっており、出願されている商標について、登録をしても問題ないかの意見募集期間が設けられています。

この意見募集期間のことを、異議申立て期間と呼んでいます。

日本では、この異議申立て期間が商標登録の後に設けられていて、商標登録されたことを公表する「商標登録公報」が発行された日から2ヶ月以内に、誰でも異議申立てを行なうことができることとされています。

異議申立てが特許庁で認められると、商標登録は取り消しとなります。

取消審判


登録商標は、登録されている以上は適正に使用されなければなりません。

登録された商標と実際に使用している商標が異なっている場合や、全く使われていない場合には、登録商標が適正に使用されていないということになります。

こうした場合、第三者としては、適正に使われていない登録商標が特許庁の登録簿に載っているがために、自分の商標の登録が受けられないという場合が生じます。

こうした不都合を解消するために、不使用取消審判という制度が設けられています。

この不使用取消審判は、継続して3年以上、登録商標が使用されていない場合には、誰でも登録の取り消しを求めることができることにとされています。

この審判が提起された場合には、商標権者は登録商標を使用していることを示す証拠を提出することが求められ、提出できない場合には商標登録は取り消されることになります。

使用証拠に表示されている商標が、登録商標と異なる場合、適正な使用であるとは認められず、やはり取り消しとなってしまいます。

また、商標権者がわざと、商品の品質やサービスの質に誤認を引き起こすような使い方をしたり、他人の商品やサービスと混同を引き起こすような使い方をしたりした場合も、登録商標が適正に使用されているとは言えません。

こうした場合、登録商標の不正な使用であるとして、誰でも登録の取り消しを求めることができることとされています。

無効審判


商標登録後の第三者からの意見提出の機会として、異議申立て制度があることは前記の通りですが、この期間を経過しても、利害関係のある人であれば、その後も商標登録を無効にするための審判を提起することができます。

日本では審査を経て登録になりますが、誤って登録になっているものがないとは言えないために設けれらた制度です。

自分の登録商標と似ている商標がいつの間にか登録になっていたというような場合や、実際には識別力がない商標が登録されてしまったというような場合には、その他人の商標登録の日から5年以内であれば、無効審判を請求して、登録の有効性を争うことができます。

もし無効とすべき理由が、公序良俗に反するであるとか、不正な目的で登録を受けたものであるとかいう場合には、5年という期間制限なく審判を起こすことができます。

まとめ


以上見てきたように、他人の商標登録を取り消したり無効にしたりする手段は、商標法によって用意されています。ただし、どの方法を取るにせよ、時間と費用がそれなりにかかるので、こうした紛争には巻き込まれないことが一番です。

また、自分が商標登録を持つようになると、逆に他人から異議申立てや審判請求を受けることがあり得ます。突然の事態になっても焦らないよう、日頃から備えをしておくことが大切です。

どのような備えが必要かは、当事務所までご相談いただければ幸いです。


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