わかって納得の知財ブログ

053:【初心者向け】コーポレートブランドとプロダクトブランドについて(FacebookとMetaを題材に)

今日のトレンドワードは「Meta」ですね。GAFAの一翼を担うFacebook, Inc.が社名を「Meta」に変えるという報道により、GAFAがGAMA(蛙?)になるだとか、SNSも賑わいました。今日はこれにまつわる話を書いていきたいと思います。

目次


  • コーポレートブランドとプロダクトブランドってつまり何?
  • 実例で見てみましょう
  • SNS「Facebook」が「Meta」になるとは考えにくいが・・・

コーポレートブランドとプロダクトブランドってつまり何?


さて、今日はこんな話題ですので、コーポレートブランドとプロダクトブランドについて書いていきたいと思います。まず、それぞれ定義を確認したいと思います。といっても、法律用語ではありませんので、コトバンクを見てみましょう。

まずはコーポレートブランドです。

コーポレート・ブランドとは企業ブランドのことをいう。企業ブランドの項参照。

コトバンク|コーポレート・ブランド

それでは、企業ブランドの項をみてみましょう。

企業ブランドとはブランドの役割を果たす企業名のことをいう。

コトバンク|企業ブランド

なるほど、コーポレートブランドというのは、ブランドの役割を果たす企業名のことを言うことがわかりました。

次に、プロダクトブランドです。

プロダクト・ブランドとは製品ブランドのことをいう。製品ブランドの項参照。

コトバンク|プロダクト・ブランド

こちらも同様に、製品ブランドの項をみてみましょう。

製品ブランドとは、企業に用いられる企業ブランドに対して製品に用いられるブランドのことをいう。

コトバンク|製品ブランド

プロダクトブランドというのは、製品に用いられるブランドのことを言うのですね。おおよそイメージが掴めたでしょうか。

企業ブランドのところにある「ブランドの役割を果たす」というのがやや漠然としているようにも思われますので、もう一段ブレイクダウンしますと、ブランドというのは商品やサービスの目印ということです。

つまり、商品やサービスの役割を果たす企業名のことをコーポレートブランドといい、商品やサービス自体のブランドのことをプロダクトブランドというということですね。

どちらも商標という括りでは同じですが、企業体という枠組みの中で、位置付けが異なるものということがお分かり頂けたかと思います。

実例で見てみましょう


それぞれの言葉の違いが掴めたら、今度は実際の例で見てみましょう。

まず、日本企業を例にしてみます。コーポレートブランドとプロダクトブランドが一致しない例を挙げてみたいと思います。

「ランドクルーザー」、「アルファード」、「プリウス」、「ライズ」、「アクア」、「カローラ」・・・というプロダクトブランド群があります。ご存じ、世界の「TOYOTA」です。

全て、コーポレートブランドである「TOYOTA」の傘下のプロダクトブランドという位置付けで整理されていることは、ご想像いただけるのではないかと思います。

こうした整理を、コーポレートブランドの傘の下にいくつものプロダクトブランドが成っているように見立てて、「ブランドツリー」というように表現することがあります。

次に、今ホットな「Facebook」ですが、例えば米国商標登録No. 6318047の現在の名義人は「Facebook, Inc.」です。

ご存じ「Facebook」は、SNSサービスや、そのアプリなどの目印として用いられていますので、この意味ではプロダクトブランドと言えます。

しかし、プロダクトブランドであると同時に、社名も同じですから、コーポレートブランドでもあると言えます。

Facebook傘下の「INSTAGRAM」も、例えば米国商標登録No. 5869731の名義人は「Instagram, LLC」です。

同じく「WHATSAPP」も、例えば米国商標登録No. 5520108の名義人は「WHATSAPP LLC」となっています。

なるほど、これらはいずれもFacebook傘下のサービスですが、それぞれ事業会社として残っていて、それぞれが商標登録の名義を持っている。これにより、コーポレートブランドとプロダクトブランドが一致していることが分かりました。

SNS「Facebook」が「Meta」になるとは考えにくいが・・・


今回の報道によれば、「Facebook, Inc.」は、社名を「Meta」に変えるということですが、これほど世の中に浸透しているSNSや写真アプリの名称まで「Meta」に変えることは考えにくいでしょう。

というのも、「Meta」という商標は、米国だけをみても様々既に商標登録されているので、グローバル展開までを考えると、これを商標として使っていくのはあまり現実的ではないように思われるためです。

それとも、水面下で交渉や買収など、工作活動が行われているのでしょうか(私は知りません)。

一部報道によれば、プロダクトブランドはこのまま使い続けるようですので、一番大元の会社名を「Meta」にする、ということだけのようです。

今のところザッカーバーグ氏が新社名「Meta」を、コーポレートブランドとして使っていくつもりかどうかまでは分かりませんが、もしかすると、「Google LLC」の持株会社である「Alphabet Inc.」のような組織設計を構想しているのかもしれませんし、そうでないのかも分かりません。。

コーポレートブランドとプロダクトブランドを一致させると、商品の広告宣伝など、商品に関する使用を通じた認知度の向上が、ダイレクトに企業名の認知度の向上にも役立つので、この意味ではブランド価値を高めやすいあり方と言えます。

しかし、逆に、コーポレートブランドかプロダクトブランドのいずれかについて、マイナスの評価がなされると、芋づる式に一方が他方に引きずられてしまうという危険もはらんでいます。そうすると、コーポレートブランドとプロダクトブランドを分けておいた方がいいような気もしてきませんでしょうか。

ブランディングの方向性は、何が正解ということでもありませんが、これからブランドを育てていこうという方は、こうしたグローバルブランドのやり方を上手に参考にして頂くと、良いのかもしれませんね。

なお企業名でも、主観的な意図はともかくとして、事業全体を包含する商標として機能することになりますので、商標登録が必須と言えます。この辺りを、「Meta」がどうクリアしていくのかに注目したいと思います。


<<お問い合わせはこちらから>>

この記事の内容について詳しくお知りになりたい方は、
以下のボタンからお気軽に当事務所までご連絡ください。


にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ
にほんブログ村 ランキング参加中です!

PAGE TOP