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066:【初心者向け】商標のファーストトラック審査を活用して早期登録を目指す

この数日、不使用取消審判という、使われていない登録商標についての商標登録を取り消す方法や、取り消し請求されてしまった場合の対処法などについてお伝えしてきました。

過去記事はこちらからどうぞ
063:【事業者向け】使われていない他人の登録商標が自社ブランドを商標登録するときの障害になる場合の対応①|不使用取消審判の活用方法
064:【事業者向け】使われていない他人の登録商標が自社ブランドを商標登録するときの障害になる場合の対応②|不使用取消審判の準備と流れ
065:【商標権の保有者向け】不使用取消審判をかけられたらどうするか?商標登録を守るには社内の管理体制の構築が鍵

不使用取消審判は、商標登録出願とは切っても切り離せないものですが、その商標登録出願は、最近ですと、審査に10ヶ月程度がかかっているのが実情です。

しかし、もう少し早くならないのかというお声を頂くことは少なくありません。この点は、特許庁としても認識をしていて、ある要件を満たせば、追加費用なしで審査期間を半年程度に縮めることができる「ファーストトラック審査」というものを行なっています。

目次


  • ファーストトラック審査を受けるための要件とは
  • 早ければいいというものではない?ファーストトラック審査の落とし穴とは
  • 知識を持って希望する商品・サービスをきっちり書くことが欠かせない

ファーストトラック審査を受けるための要件とは


審査期間が4ヶ月程度も短くなる、しかも追加の費用がいらないなんて、とても魅力的ですね。ですが、このためにはある要件を満たす必要があります。

それは、特許庁があらかじめ定める商品やサービスの一覧から指定商品・指定役務を選んで出願をすることです。

あらかじめ定められたものを、「基準等表示」と呼んでいて、具体的には、以下のリストに載っているものが対象になります。

  • 類似商品・役務審査基準
  • 商標法施行規則
  • 商品・サービス国際分類表(ニース分類)

弊所では、早期に審査結果が欲しいという場合には、このファーストトラック審査が受けられるよう、追加費用なしで対応しております。

ただ、いいことづくめのように思えるファーストトラック審査も、いいことばかりではありません。

早ければいいというものではない?ファーストトラック審査の落とし穴とは


ファーストトラック審査を受けるためには、願書で指定する商品・サービスが、「基準等表示」である必要があるとお伝えしました。

しかし、この「基準等表示」というのは、昔からある典型的な商品やサービスが掲載されていますので、実際に販売や提供を予定している商品やサービスが、そこに掲載されていない場合があります。

商標登録を受けるということは、ただテキトーに登録を受ければいいというものではなりません。

その商標を使おうとする商品やサービスを具体的に指定して、適切な範囲設定をしないと、保護が不十分なものとなります。

最悪の場合、権利化した目的を達成できないものとなってしまう可能性もありますので、ファーストトラック審査を選んでいいかというのは、十分検討が必要です。

知識を持って希望する商品・サービスをきっちり書くことが欠かせない


商標登録出願は、商標と区分を選んで簡単にできると思われがちですが、実際は異なります。

一つの区分の中にも様々な商品やサービスが含まれていて、「区分を指定しただけで自動的にまるっと権利化」ということは認められていないのが実情です。

また、具体的な商品の表示も、それが商標法という枠組みの中でどのような位置付けにあるのかというのは、法律・実務を知らないと、あらぬ方向で出願することにもつながりかねません。

一例として、自社商品の広告宣伝をしたいから第35類「広告」を指定する・・・これは「あるある」なのですが、かけなくていいコストをかけている可能性大です。

結局、願書に記載する商品・サービスは、法的な判断を行いながら保護を求めるものを個別に指定をしていかなければなりません。

事業・ブランドごとに、どのように商品・サービスを指定するかというのが、弁理士の腕の見せ所とも言えます。

弊所では、こうした指定商品・指定役務の検討を出願手数料の範囲内で、追加料金なしで対応しておりますので、気になるかた、上の例でドキッとした方は、弊所までお気軽にご相談ください。


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