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062:【受験生向け】弁理士試験に独学で合格した話⑨「勉強しはじめの知識のインプット方法」

弁理士試験をどのように独学で乗り切って合格に至ったかをお伝えしています。過去記事は以下の通りですので、宜しければご覧ください。

さて、今日のお題は「勉強しはじめの知識のインプット方法」です。弁理士試験に合格するためには、相応の知識のインプットと、試験当日の適切なアウトプットが必要です。これまで、僕がどのようなツールを使って、どのくらいの時間を使って勉強をしてきたかをお伝えしてきましたが、今回からはより踏み込んで、勉強の方法論をお伝えしようと思います。

方法論というと、テクニックのお話かと誤解されがちですが、そうではないことは先にお断りしておきます。僕自身、テクニックで合格したとは思っていません。というか、テクニックで合格できるレベルの試験ではありません。

最短で合格を手繰り寄せる方法論はあると思いますが、楽々合格ができるテクニックというものは、あるのでしょうか。少なくとも、僕は知りません。この点、あらかじめお断りしておきたいと思います。

目次


  • 受験生の多くは非法学部出身
  • 弁理士試験のメインテキストは条文集(法文集)
  • 短答式試験の合格に学者が書いた解説書は必要か?補助教材の選び方
  • ちゃんと条文を引くことが大切

受験生の多くは非法学部出身


さて、弁理士試験は、受験生の大半が理系出身で、令和3年度の志願者統計から見ても、文系は3割に満たないようです(選択科目の希望者割合から推定)。

また、これまで出会った弁理士の方を法学部出身者ばかりでなく、文系といっても外国語学部出身の方も業界に少なくないように思われます。

したがって、受験生のほとんどは、法律の条文に触れたことのない方だろうということが予想されます。しかし、弁理士試験は、法律の試験ですので、法律の的確な理解が求められます。

ところが、前述のように、受験生の大半は法律の条文なんて見たこともないという方が大半です。また、法学部出身といっても、ちゃんとトレーニングを積んできた人ばかりではないでしょう。しかも、知財の条文は複雑怪奇な構造をしているものも少なくありません。

このため、少なくとも数千時間は費やすであろう受験生活を始めたところ、スタートした直後に方向性を見失うという方も少なくないのではないかと思います。

なので、スタートを切る前に、方向性を見失うことがないよう、しっかりとマインドセットをすることが大切です。

では、いったい何を理解して、何を覚えればいいのでしょうか。

弁理士試験のメインテキストは条文集(法文集)


こんなことを書くとなんだと思われるかもしれませんが、実は、答えは既に書きました。弁理士試験の合格には、「法律の的確な理解が必要」です、と。つまり、法律の条文をしっかりと理解することが必要なのです。

言い換えると、解説書をどれだけ理解したかということではなく、法律の条文を理解して、覚えるべきところは覚えるということが欠かせません。したがって、もしあなたが、解説書がメインテキストで、条文集は補助教材だという程度に思われていたら、考えを改めて頂いた方がいいように思います。

条文集がメインテキストで、解説書が補助教材です。

この位置付け・関係を忘れると、学者の先生の独自色が強く出てしまいがちな解説書に書かれた、それぞれの説の違いに戸惑うことになりかねません。

条文に書かれていることを中心に考える-これが基本になります。この基本を忘れると、軸を失って合格が遠のくと思います。

短答式試験の合格に学者が書いた解説書は必要か?補助教材の選び方


先の記事で、短答式試験の勉強で使用した教材を上げておきましたが、再掲します。

・予備校が一般書として販売する入門書
・知的財産権法概論(有斐閣)
・産業財産権四法対照(PATACH企画)
・弁理士試験 体系別短答過去問(LEC)
・意匠審査基準(特許庁)
・商標審査基準(特許庁)

条文がメインテキストだとはお伝えしましたが、図も説明もない状態で、いきなり条文を読んでも挫折するだけです。せめて、全体的な構造や体系を多少なりとも理解をしてからの方がいいです。

そこでおすすめなのが、予備校が販売する入門書です。知財系の書籍は結構いい値段がするものが多いのですが、予備校が販売する入門書は、比較的良心的な値段設定になっています。しかも、図表が多く用いられていて、初めての人でもトライしやすいかと思います。

なお僕は、学者の先生が書かれた書籍を一切読まなかったわけではありません。上記の「知的財産権法概論」はよく活用しました。概論というタイトルの通り、非常にコンパクトに知財全般の解説が一冊にまとめられているので、入門書の次に読んでみると、知財の世界がグッと身近になるのではないかと思います。

ちゃんと条文を引くことが大切


ちなみに、入門書にしろ学者の先生が書かれた書籍にしろ、忘れてはならないのが、ただその本を読むだけにしないことです。出てきた条文は必ず条文集をめくって読むようにしましょう。

最初は億劫かもしれませんが、慣れてくるとかなりの精度でページを開けるようになりますので、頑張ってトライしましょう。

何度も同じ条文が出てくると、また出てきたよと思われるかもしれませんが、何度も出てくるということは、重要条文ということですから、しつこいようですが何度も読みましょう。

理解度は個々人の感覚もあるでしょうから、何回読めば大丈夫とかいう話はナンセンスかと思いますが、個人的な感想としては、入門書を1〜2回読んで、なんとなくわかったような気がしたら過去問に移っていいのではないかと思っています。

受験界には、「基本書」と呼ばれる、いわゆる当該分野のベストセラーないし古典のようなものがありますが、少なくとも試験合格という目的のためには、基本書を熟読して理解を深めることは、必要ないと思われます。

お守り代わりに持っていることはいいと思いますが、それでも、わからないところが出てきたら参照する程度で、ひとまずは十分だろうと思います。


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