多くの方が利用しているであろうコミュニケーションツールである「LINE」ですが、その魅力の一つとして挙げられるのが、「スタンプ」ではないでしょうか。
公式発表によれば、今や900万種類以上のスタンプがあるとのことで、日常的に使っている方も多いかと思います。
そんなスタンプですが、ご存知のように自分で作ったり販売したりすることができます。
しかし、スタンプを作るときに知的財産を意識しているかと問われると、如何でしょうか。
本日は、スタンプを作ろうというときに気をつけたい知的財産について解説していきます。
目次
- LINEのスタンプ審査ガイドライン
- 本業はもちろん、副業でも権利侵害はNG
- スタンプは著作物である
- スタンプとスタンプ名は商標にもなる
- スタンプ名と主なイラストは商標登録が必要
LINEのスタンプ審査ガイドライン
スタンプを販売するにあたっては、当たり前ですが、LINEが定めるルールにしたがうことになります。
LINEでは、「スタンプ審査ガイドライン」というものを公表しており、知的財産権については、以下のように定められています。
5.1.当社または第三者の商標権、著作権、特許権、意匠権などの知的財産権を侵害し、または使用されている素材がサードパーティの利用条件に違反しているもの
スタンプ審査ガイドライン
ここでは、「商標権、著作権、特許権、意匠権などの知的財産権」と書かれており、非常に幅広な表現になっていますが、特に注意が必要なのが商標権と著作権です。
本業はもちろん、副業でも権利侵害はNG
商標権と著作権の話に入る前に念のため触れておきますが、企業・個人の本業としてスタンプクリエイターとして活動される場合はもちろん、副業としてスタンプを販売しようという場合でも、他人の権利を侵害してはいけません。
プライベートな活動だったら大丈夫という話ではありませんので、本記事を参考に、十分気をつけてスタンプ制作をして頂ければと思います。
スタンプは著作物である
スタンプを作るときは、イラストを使うものが多いかと思われますので、本記事ではイラストに絞ってお伝えしていきます。
イラストは、美術の著作物として著作権法で保護されますので、ご自身が作られたスタンプが、他人が創作したイラストなどの著作物を複製等したものである場合、著作権法上の問題が生じることになります。
LINE社にて、審査ガイドラインが公表されていることからもお分かりいただけるよう、スタンプを販売するにあたってはLINE社にて審査を行っっています。
しかし、当たり前ですが、この審査を通過したからといって、誰の権利も侵害していないことのお墨付きがもらえるものではありません。
スタンプを制作するにあたっては、他人が創作したイラストなどを真似することがないよう、十分に気をつけましょう。
また、著作者の実名や最初の公表日を文化庁に申請して登録しておくことで、将来他人に真似された時や、真似していると疑いをかけられた時などのトラブル対策になります。
スタンプとスタンプ名は商標にもなる
スタンプは、美術の著作物であるといえますが、これと同時に、LINEというプラットフォームを通じてダウンロード可能な画像データであるとも言えます。
そして、その画像データの取引の目印となる主たる画像とスタンプ名は、ダウンロード可能な画像データの取引上の目印となります。
つまり、画像データという商品の目印=商標ということになります。
このため、主たる画像とスタンプ名については少なくとも、商標に関するクリアランスを行うべきであると言えます。
スタンプ名と主なイラストは商標登録が必要
前述のように、他人の商標権を侵害しないためには、自らのスタンプについて、事前のクリアランスが必要です。
また、商標の保護は先願主義(早い者勝ち)となっていますので、同一・類似の商標が第三者に出願された場合、対応が後手に回り、非常に不利になります。
このため、スタンプを販売しようという場合、少なくとも主たる画像とスタンプ名については販売に先立って商標登録に向けて特許庁への出願手続を行うようにしたいところです。
本業・副業を問わず、イラストを作成して収益を上げようという場合に、他人の権利を侵害しないようにするというのは基本的なことと言えます。
図らずも他人の商標権を侵害することのないよう十分な調査を行った上で、将来のことを見据えて特許庁に出願をして商標登録を得ておくことは、メリットがありこそすれ、やらない理由はないのではないでしょうか。
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